ペットと暮らせる特養から 若山三千彦
医療・健康・介護のコラム
[愛猫と暮らしたい](下)ホームに一緒に入居、病状は劇的回復「今が至福の時」
民生員の今井さん(仮名)は救急車を呼ぶと同時に、後藤昌枝さん(仮名)の 姪御 さんに連絡をいれました。以前から、いざという時のために、後藤さんから救急連絡先を聞いていたのです。そして、すぐ近所の猫を飼っている人を呼ぶと、祐介君のお世話をお願いしました。これも以前から、今井さんが準備をしていたのです。
自宅で倒れて緊急入院 愛猫はご近所さんが世話
病院に運ばれた後藤さんは緊急入院することになりました。病名は栄養失調です。その時後藤さんの体重は30キロちょっとしかありませんでした。ギリギリの状態だったのです。
後藤さんの入院後、数日間は、猫好きのご近所さんたちが交代で後藤さんの家に通って、祐介君の世話をしてくれました。その間に、祐介君を飼ってくれる所を探し回り、「ペットシッターノン」というペットホテルにたどり着きました。そのペットホテルの経営者が、餌代などの実費のみで祐介君を長期間預かってくれることになったのです。
実は、この段階で、この猫好きのネットワークに私自身が加わることになります。私は「ペットシッターノン」を利用したことがあったのです。東北の被災地に夫婦でボランティアに行った際に、愛犬を預けていたのです。
「ペットシッターノン」は、経営者が自分自身の家を使って営んでいます。預かっている犬や猫を庭で伸び伸びと遊ばせてくれるという、大変良心的なペットホテルで、横須賀のペット好きの人の間では、知る人ぞ知るという人気の場所です。
ペットホテルから連絡、急きょホーム入居
その経営者が私に連絡をくれたのです。私は経営者からそれまでの経過を聞いた時、日本の人情もまだまだ捨てたものではないなと感動したのをよく覚えています。
こうして後藤さんと祐介君は、私が経営するペットと一緒に入居できる特別養護老人ホームさくらの里山科に入居しました。後藤さんは、意識がもうろうとしたまま、ストレッチャー(車輪付きの担架のような物)に乗っての入居です。後藤さんは、点滴を受けることにより危機的状況は脱しており、あとは特に治療も必要としていないため、退院を迫られていたので、急きょのホーム入居となりました。
居室では一足早く入居した祐介君が待っていました。意識が朦朧としたままの後藤さんは、「ああ、祐介がいる」とそれだけで、訳もわからず、ここがどこかもわからず安心したそうです。
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